すべては自分ーYour Insight

 イスラム教の方々はただ今ラマダン期で毎日断食を日が沈むまでしているはず。詳しいことはあまり知らないラマダンのことをダーリンに聞いたら、どこか神秘的で、要するにイスラム文化バージョンの教訓とメディテーションなんだということが分かった。

  ダーリンはイスラム文化で生まれ育ち、小さいうちはやっぱりイスラム教の教育に従って育っている。かといって今はほぼ無神論者で、仏教のメディテーションに興味はあるものの、宗教的なことを一切しない。というと、反イスラム教風に聞こえるかもしれない。そうではなくて、その歴史を知り尽くし、疑問を追求し続け、イスラム教そのものに関しては特にネガティブではない。とても深い話になってくると思うので、ダーリンについてはこの辺までにしておこうと思う。

私「それでさー、ラマダン期に食べるものは何だっけ?」

ダーリン「ハリラ(写真上スープ)とデーツ、そしてコーヒーがまず初めに口にするもの」

私「それだけ?そのあとは何も食べないの?」

ダーリン「日が沈んだら真っ先に胃にやさしいそれらを食して、そのあとディナー」

私「あ、そうなんだ。肉でもなんでもディナーに食べていいの?」と聞くと、いいのだという。もちろん日中は水も飲んではいけない。

 

 断食をしなくていい人というのは、メディカルコンディションがある人、妊婦、乳児に母乳をあげている母親、月経中(女性)、旅人などと例があるのだけれど、例えば月経中の5日間断食をしなかったとしたら、その後で次の断食期までに5日間どこかで断食しなくてはならないんだそう。断食中に断念して日中に水や食べ物を口にしてしまったとしたら、その日数も次の断食前にどこかで自分で断食するか、次回の断食の時に日数を足して行うかになるという。

 そんなの、誰かに言わなければわからないじゃないか、私は言うと、ダーリンが分かりやすく説明してくれた。「要するに、自分と神との会話の時間であり、自分へのチャレンジであり、アウェアネスであり、メディテーションと同じようなコンセプトなわけだ。本当に数人がやり遂げることができるだろうという、誰もができる簡単なことではないというのが前提。」まさに、自己チャレンジである。

 

 「ラマダンが2週間ぐらい過ぎると、イライラしてくる人が出てくる。そういう自分の気持ちを客観的に見ていられるかということも課題。自分の母はラマダン中はよく石のわっか(ロザリオや数珠のようなもの)を手にもって、一つ一つ触りながら99の神の名を唱えていたよ。」なるほど。以前似たような光景を、チベットのお坊さんがやっていたのを見たことがあるが。 

 それにしても99の神の名ってどういうことなんだろう?さっそく質問してみるとこういうことだった。アラーという名はみんな知っている通り神の名なわけだけれど、例えば、神を象徴する人や事などがその名になる。もっと言うと、「愛のしもべ」というのも神を象徴する名になっているし、「患者」というのも神はその人の中にいるということで名になっているというような。アルファベットのAから始めたとすると永遠99の神を象徴する名があるというわけだ。

 ここまで聞いて、なんだかすごーく神秘的な感じがあって、日本でも好んで座禅や断食のリトリートをしに行く人々がいるけれど、その人がそれをなぜしているのか意識できている以上は素晴らしいことなんだなと思った。昔からある宗教や信仰のピュアな部分はリスペクトするべく美しいと思う。

 「それでその99の神の名を覚えているの?」と私。「いや忘れたね。」と即答。いったい一度は覚えたのかとも思ったのだけれど、それは聞くのをやめた。

 さて5月。あ、日本はゴールデンウィークというのがあったっけ。

 よい一週間を💛