Stawemust ChiefでハイクーStawemust Chief

 カナダにはどこに行ってもハイクのできる自然があり、設備があり、キャンプ場があるけれど、今のところの経験上、BC(ブリティッシュコロンビア州)はとりわけいっぱい。

 バンクーバー滞在3日目は、ノーズバンクーバーにあるStawemust Chief Hikeに行くとダーリンが決めた。この山は、噴火の後にマグマが冷えて固まった後ということで、パート1からパート3までの山がある。とりあえずパート1からの挑戦。去年の夏だったか、かなりきついハイクを経験したから、あれ以上はないだろうと、なめていた。

ところが、この始まりから見える階段。永延先まで続いていくこととなる。時には階段がなくても、同じ角度で登ることには違わない。写真ではわからないと思うけれど、この階段、一段一段が高くて、私は手を使ってはって登っていく。この際、格好などどうでもよかった。とにかくいつまで続くかわからないこのトレイルを終わらせるためには、なるべく膝に負担をかけずにとか、自分なりの工夫とペースを守るしかない。

 いつものことなのだけれど、いまいち準備もせずにちょっと行ってみようかという感じだったので、水だけは持っていた。こんなのに挑戦するなら、栄養補給用の食料も、救急のための用意とかもしていくのに…と後悔先に立たず。

 それでも、地元の人というか、4,5人の若者や、何かのトレーニングのような人、中年カップル、それから10歳やそれ未満の子供を連れた家族、そして犬まで、割とちょっと登りに来た程度に特に特別な用意もせずに無防備な感じで登る人も結構いた。子供達には驚く。身軽というのはこうも違うものか。犬は下山の時であったが、前足の片方をくじいたのか、痛そうにびっこで降りている犬がいてちょっとかわいそうなのもいた。

 写真はかなり登って休憩地点。実は私はこの時ここが終点だと思って、あとは降りるだけと晴れ晴れしていた。頭の中には「降りたら車の中に食べ残したスターバックスのアーモンドクロワッサン(クリーム入り)をほおばろう。そして次はおいしいランチ。」と、ここまでやり切った満足感でいっぱいだった。そしていざ下山かと思いきや、ダーリンが違う方向へ行く。その時、ここは頂点ではないと知った。

 本当に、すべては心理的なもので、いつもはなんだかんだ言って気が弱ることはないのだけれど、この時はぬか喜びをしたせいで、本当に途中でやめようと弱音を吐きそうになって、「ねー、ほんとにー?」と鳴き声を上げる。「やればできるよ」とお安い励まし。途中からやけになってやめてたまるか精神が湧き出てくれたのは幸い。かなり頂上に近づいてきたとき、目にしたのが下のはしご。

 なんだか軍隊のトレーニング見たい。そして、もうちょっと気温が低かったら、手袋なしでは登れなかっただろう、触ると冷たいここのはしごだった。

 だんだんマグマの上を登るようになってきたのだった。はしごの次は、鉄製のロープチェーン。

 写真上は、すでに登り切った後ダーリンを下に見て撮った写真なのだけれど、チェーンがちょろーっと降りているのが分かるだろうか。これもまた冷たい。ところがこのチェーン、かなり登るのを助けてくれる。チェーンを信じれば、体を45度からほぼ90度近くまで後ろに反り返って歩く。そうすると難なく登れた。が、ダーリンはそういうテクニックが得意ではなさそうだった。ちょっと勝ち誇る。

 本当にあともうちょい。

 もちろん降りるときの不安もすでにここでよぎるが、とりあえず行くしかない。

 そして頂上の映像をどうぞ。

 ダーリン曰く、おそらく小さな子供たちは、てっぺんまではいかなかっただろうという。たしかにはしごやチェーンは6歳や7歳児に扱えるのかなという気はする。なんにしても子供が昇る山か、と普通なら思うが、カナディアンは小さい時からこうやって鍛えられるわけだ。それから、言うまでもなく下山はきついのだけれど、走って降りる人を数人見た。本当に、何かのトレーニングとしか思えない。降りきって駐車場に着くと、救急車が2台救助に来ていた。いやいや、やっぱり何かあってもおかしくない山登りよね、これ。

 こうやって、まだ登れる体であることの嬉しさはやっぱり言うまでもない。が、これからもかなり慎重にやっていきたい。ダーリンは初めて膝の痛みを覚えた。「それよ、去年ぐらいから私が登山のたびに経験しているやつ」と、今回はいろいろ考えて気を付けていたので見事ひざ痛なしだった私はどこか自慢げ。

 とてもいい経験をして次の日は家路へ長いドライブ。何事もなく着くはずだった。が、何事も、下調べ下準備をするべきで、この山登りよりある意味無防備なチャレンジとなった。

 次回へ。よい一週間を❤