昨日から降り続いて明日まで降り続ける雪。今朝はいつも40分で行けるスタジオを、1時間半かかった。この町を出るにはある坂を上るのだが、気温の下がった朝の道路は雪の下で凍っている。我が愛車のタイヤでは滑って滑って怖いので、20-30キロしか出せなかった。スピードがないと坂は上れなくて、途中どうもがいてもタイヤが空回りして進まない。というような状況の中でエマージェンシーライトをちかちかつけたまま、何とかスタジオに着いたのが朝7時。8時からのクラスに間に合った。我ながら、2WDの車でよくがんばると思う。
話しは変わって、小さい救いの話。
ものすごい忙しい生活を送っているわけではないのに、食料品の買い物などはなんとなく「やってしまわなくては」という気持ちにとらわれ、さっさと終わらせたい。先日も同じように、リストを片手に3か所をはしごして調達へ行った。
始めのスーパーでは、お手頃の値段になったブドウを選んでいた時のこと。すでに選び終わってかごに入れ、次の品物を探そうとそこを離れようとした時だった。”Do you want to try?”といって、せっかちにブドウが並ぶ売り場に来て、何か探している年配の男性職員。はじめ自分に言っているのかわからなくて、そのまま通り過ぎようとした。年配男性職員は私の方へ駆けつけ、「これ試してみて」と2種類、私が選ばなかったブドウの束を持ってきた。半分ためらいながら、せっかくの好意で断れず一粒づつもらうと、なんておいしいのだろう! 「これは、コットンキャンディーっていうんだ」と教えてくれた。2つ目の方は形が長方形のブラックグレープだったが、味は特に特徴はない。お礼を言うと、ただ嬉しそうに”You are welcome”といってその場を去る職員。まったく押し付けて売る感じがない。おいしさと彼のなんというか、ただいいものを教えたいというだけの気持ちがありがたく、結局このコットンキャンディーというブドウを買い、彼にももう一度「ありがとう、買うことにしたよ」と伝えに行くと、「あ、よかった。楽しんで。」と一言。
次にスパイスを買いに、カナダの量り売りの店、Bulk Barn という店へ。「あと二つで終わり。」とリストを見ながら会計を終えたときについ口に出してしまった。するとレジの年配のおばさんが笑顔で、「私大好きよ、買い物。リストを書いて食料品の買い物に行くの、楽しいじゃない。」と私に言った。心から楽しんでいる様子がうかがえる言い方だった。私が面倒だと思うことを、楽しいと思いながら成し遂げる人がいる。
この二人は、何の不平もなく、そしておそらくは他人のための行いを自分の喜びとしている。なんて幸せで素敵な人々だろうか。この日、幸せをこの2人から教わった。私の小さな美談。
また一週間。