相対性ーRelativity

ライラックの良く咲く季節になった。

ある日、PN(プラクティショナーナース)という、ナースでも、マネージャー的なポジションの彼女が私たちのオフィスに寄った時のこと。ちょうどレジデントの方々の朝食の時間に当たるその時は、それほど忙しい時間帯ではないので、ちょっとした雑談となった。

 

いつものように、大体行きかう会話を聞いていると、どうしてこの町に来たのか、という話題になった。彼女はもともと東側はオンタリオ州の生まれであるが、仕事でBC(ブリティッシュコロンビア)のバンクーバーにいた。場所は素晴らしいが仕事となると、BCはあまり期待できない。特にヘルスケアーに関する仕事ならば、ここAB(アルバータ州)の方が全くいい報酬なので、多くがこっちに引っ越してくる。

 

彼女曰く、「人々に言われたわよ、コークランの町にフィットするには、宗教的であるか、子供がいるか、何かスポーツコミュニティーにかかわるか(あともう一つあったが忘れた)でないとフィットしないって。ほんとにね、この町のチャーチの数を見ればわかるわよ。みんな何かしらスポーツのコミュニティーにかかわっているし、いつもファミリーって感じだしね」と。それでも彼女は小さい町が好きなんだという。

 

スポーツで言えば、ティピカルなところでゴルフクラブみたいな施設もあちこちにあるし、あとは冬場のカーリングクラブやクロスカントリースキーとか、スキーとかであろうか。子供とペットは言うまでもなく当たり前の家族の在り方という感じはある。自分たち夫婦を振り返ると、どれも当てはまらない。現に、いまだにこの町に自分がフィットしているとは全く思っていないし、これからもないだろうと思う。

しかし、カルガリーやリゾート地キャンモワなど、近辺の都市の物件の高さなどから、移民人口の密度もまあまあ増えている。

そしてやっぱり類は類を呼ぶというか、気が合って知り合う人はだいたいこのフィットする条件の何らかに欠けている。

それでもカルガリー市内に比べると、断然そのダイバーシティーには劣っているのがここコークレンの町である。

 

先日のピラティスのクライアントの一人がセッション中に言った。「カナダは退屈なのよね。カナダ好き?」と。彼女はイタリアでも北の方の生まれで、娘さんがロンドンにいる。年中短期長期の旅行に行く人なので、まあ無理もない。幼少時代はインドネシアで過ごしたこともあり、大変ユニークな人生経験を持つ人物だと思う。カルガリーに住んでいても退屈するのだから、彼女はぜったいにコークレンにはすまないだろう。

なにはともあれ、今は週に最低3日行けるカルガリーでの仕事と、週に3日の地元町での仕事の両方の違ったカルチャーを楽しめる。ここに住んでいるのが時々不思議になるけれど、車も持って運転もできればそれほど不便も感じない。もちろん車を持って運転できる、これはここに住む最低条件だろうけれど。どっちのカルチャーにもつかず、それでいて、片方があるのでよりもう一方が心地良く感じるということもあって今のところ心地がいい、としておこう。