その背景ーWhat It Comes From

前回のチーム結束の続きである。

午後4時にヨガのセミプライベートクラス予約をしてあったこの日、ミーティンが終わってスタジオを出たのが3時。すぐそこのBar&Bistro系の店に入ってかなり遅いランチとなったが、遅くても3時40分には出なくては間に合わない。

注文が来る前にお会計を済ませたのが3時25分ぐらいであった。

 

せっかくこうしてみんなで集まっているわけで、何はともあれ会話は続く。なんとなく一人一人ここにたどり着いた経過のような話になった。

 

まずはルーマニアから来たスピードスケートコーチ兼ピラティスインストラクターのクリスティーナ。彼女のご両親もコーチで、自然に彼女もその道を選んだ。インストラクターとしては一番新メンバーであるカリッサが「私はドリーマーなのよ。」というような話をしたとき、クリスティーナが「私はドリーマーじゃないよ」と続いた。

 

「『私はドリーマー』という人に反論をするわけではないけど、コミュニズムの影響下で生きていて、コーチになることは私にとって夢とか、そいうことではなかった」と、現実的で生きていくために必要な手段を見ている厳しい背景を見せた。

 

オーナーのナターシャのことは、知っているようであまり知らない私は、この場を借りてナターシャにもなぜスタジオオーナーという道を選んだのかを聞いた。

 

ナターシャは母親がベトナム人で父親がカナダ人のハーフである。そしてご両親とも企業家だそうで、それ故に企業家になることを進められていたが、ずっと拒んでいたんだそう。インストラクタ―としてスタジオをめぐって働いていたけれど、時間をかけて通勤したり、そのためにガソリン代や駐車場代などを払ったりしているうちばかばかしくなり、自分でスペースを借りて教えるようになった。そのうちに、「あれ、これなんだかいい。」と感じ始め、結局スタジオオーナーとして企業家の道を選ぶことになる。今はこれが自分の道だと確信していると。

Nothing comes from nothingとよくダーリンと話すのだけれど、必ず生まれ育った環境が助けている。ことに特殊と思わせる職業を持つ人の背景には。もちろんその人の努力は否定できないし、ごくごくまれに、自力でのし上がる人もいるだろうけれど、この日の2人の話はなるほどやはりなあ、と思う結果となった。

いい加減に時間がない私たち。クリスティーナは「遅れて行くことはできる?」と聞く。オーナーのナターシャは「え? ま、2,3分ならね。」と答える。ついフライドポテトをダブルでオーダーしたクリスティーナは、一つ持ち帰ることにしたのだが、ウェイターを待って持ち帰り用に用意してもらう時間もないので、自らポテトを片手にウェイターへ歩み寄って、何でもいいから袋に入れてくれるかと頼む。 自然体の彼女はみんなを笑わせた。

幸いヨガのクラスはリラックス系のクラスで胃を逆さにするようなこともなかった。そして久しぶりに取ったヨガスタジオでのヨガは、新鮮でいい時間となった。このメンバーでヨガを一緒に受講するなどまったく思ってもいなかったし、これから何回こんな機会があるだろう。もしあれば、私にとっては5年前カナダに来た時から考えて、本当に貴重でありがたい体験である。小さなことかもしれないが、人とのつながりに感謝。