カルガリーのミュージアムの一つに初めて足を運んでみた。きっかけはピラティススタジオで私のクラスを取ってくれている方で、こういう催し物とか、アパレル系のモデル撮影のオーガナイズなどをする仕事をしている方からの情報だった。スタジオオーナーのナターシャは今でもモデルの仕事をするので、彼とは仕事を通して知り合い、今でも仕事で会うことがよくあるという。
エキシビジョンはクリスチャンディオール。モロッコで行ったイブサンローラン美術館がなかなか良かったので、イブが後継者として受け継いでいたこともあるクリスチャンディオールのエキシビジョンも面白そうと思いさっそく。
この日は-31℃とかで、路上駐車をなるべく近くにと思ったのだけれど、結局2,3ブロック離れた場所に駐車。できるだけオシャレをしていこうと見栄を張ってそれなりの格好だったこともあり、耳も顔も痛いし鼻の中は凍るし、入り口がよくわからず無駄足をした時には寒すぎてやばいと思った。カルガリーのダウンタウンは一応寒さ対策として、Skywalkという、ビルからビルへ外へ出なくてもつかがっているシステムがあるのだけれど、日曜日だからか、外から扉を開けようとしても鍵が閉まっていて入れない。なのでもしかしたらあのドアかも、といくつか試しながら哀れにも無駄な時間を過ごしていたのだった。
エキシビジョンの良かったところは、ビジネスの在り方というか、ある番組で大工さんを育てるときに、のこぎりの選び方を教えるという話しを見たが、それに似たような面を見たことが一つ。のこぎりの歯が取り換え式になっているものを買えば、そちらのビジネスへの助けになる。そういう連動でお互い成り立っていくということを教えるという。クリスチャンディオールも、素晴らしい宝石を刺繍するカンパニーやリボンのカンパニーなど、すべてがディオールで賄っているのではなくて、信頼の上のコラボという感じで成り立っていた様だった。
また、当時のショウのビデオなんかを見ると、モデルたちが今の超人的なアンドロイドのような美しい体系のモデルと違い、割と普通の体系をしたモデルたち(当時の美人なのかもしれないが)という感じで、服の見せ方もわざとらしくてこっけいな感じだった。
それから、展示会場の来客になぜかカップルが多かったり(一緒に来るのはいいけれど、こういうものをカップルで連れ添って見て何が面白いのかとひそかに思うのだけれど)、あらゆる年齢層の来客、男女ともにファッションに気を遣う客層が多かったところなど、ピープルウォッチングも楽しめた。
で、いつものようにいちゃもんを付ければ、もっと素敵に見せれるだろうオートクチュールやディオールの世界が、やっぱり安く済まされているというか、規模の小ささや、カルガリーのアートへの経費の低さを表すような残念さも感じた。
帰り際、5人ぐらいのそろいもそろったスリムでおしゃれな、まさに白髪なのに白黒の服できまっている、シャネルのクリエーティブディレクター、カール・ラガーフェルド の女性版のようなおばあ様方のグループを見た。私と同じようにSkywalkを使って、なるべく目的地に近い出口を探すべく、降りたり登ったりして迷っていたが、特に急ぐこともなさそうで、迷うことも別に気せずに今日のイベントをみんなで楽しんでいるという感じだった。
このおばあさま方はアッパークラスのお金に不自由ない方々かもしれないが、何はともあれ楽しむというのは長生きの秘訣だろうし、きっかけは何でもいいから、おしゃれやケアーをする時があるというのはそれだけで丁寧に過ごしたような気がする。特に年を取ってからはそうだろうと思う。とっぷりモードの世界に浸るということは縁のない話だが、しゃれごごろとか、丹念に作られたものをケアーしながら使うというような心意気はやっぱりいい。
非日常的なイベントを体験できたことは、とりあえず情報をくれたクライアントの方に感謝であった。
来週は超短期で帰国予定なので、ブログはお休み。