ホテルMalara とは、オーナーの娘さん達3人の頭文字をとって名付けているということだった。リサは記念にアルガンの実を2,3個、私は庭で見つけたホロホロ鳥のグスタフの羽をいただいて、マラケッシュ方面に向かった。
アトラス山脈のてっぺんぐらいまで登りまた下だる。天候に恵まれたからよかったものの、土砂崩れする雨が降る日は、道が埋まってどうにもこうにもスタックするしかないということになるらしい。
てっぺんかな?と思うところにつくと、カフェがちょこちょこ見える。ちょっと寄ってみるか、と車を止めた。
モハメッドという名のオーナーがいて、「写真を撮らせてもらえるか」というと「喜んで」と撮らせてくれた。そして、「この住所に写真を送ってくれ」と旅行者が彼宛に送った封筒を私たちに見せる。気づくと、小さい店内には旅行者が一緒に撮った写真が貼られてあった。そのようなギフトで喜んでくれるなら、と、住所を写真に撮って約束。
モロッコはアルガンオイルが有名だが、アルガンの木がこの辺りはたくさんあった。そこにヤギが昇り実を食べる。
目的地Taroudant(タル―ダン)へ着き、ジャスミンホテルを探す。迷いに迷い、見つけたのに何所が入り口かわからず電話をしてもわからず、やっとのこと従業員が一人出迎えてくれた。
カクタス、ローズ、ハイビスカス、オリーブ、デイツなど、このホテルの庭はよく手入れもされていて素敵だった。プールはもちろん、スパルーム、エクササイズルームも一応作られていた。まだオープンしてから3カ月しかたっていないというホテル。いろいろ手探り中、ポロモーション中という感じで、印象を良くしようと力入れすぎ?と思うことがいくつもあった。
というのは、どこかサービスが過剰だった。しかもタイミングが悪くスピードがあまりにも遅い。お客が断りずらいというか、押しつけがましい感じがあり、後々かなり話のタネになった。
例えば、上の写真の野外のテーブルにやけに座ってほしがる。夜疲れて帰ってきたので、持ってきているウイスキーをベッドにもたれながら飲んでのんびりしようということになり、リサと私はウイスキー派ではなので、ワインと白湯(私)をもらいにいった。
始め、若くて英語もフランス語堪能な従業員の男性がビールしかないといった。リサがじゃあビールでいいと言って待つこと15分以上。どうしたんだろうね、と冗談を言っては待つ。彼が帰ってきた。なんと、赤ワインがボトルであるという。リサはいや、ビールでいいと断る。待つこと更に10分。じっと座っているのが苦手なのでふらふら歩いていたら、隣のテーブルになぜか座っているオーナーが「マドモワゼル、シルブプレ」座っていろと言われる・・・。
10分以上更に待つ。男性陣に事情を説明しに行った方がいいかもと、私がその役をかって部屋に戻ると、もうお酒も入って疲れたので寝るという。しょうがないな、と待っているリサの方に戻る。ドリンクはまだ来ていない。やっと来たと思ったら、何やらカナッペを作って持ってきてくれた。お湯は魔法瓶ごとくれたのだが、カップがない。最後にカップを待つこと10分。白湯は「おなかの調子が悪いので薬を飲む用」とリサが説明したせいで、おなかにいいハーブティーまで作ってきてくれた。白湯は疲れている体にはちょうどいいと私は抵抗なく飲むのだけれど、リサにはただお湯を頼むのがすごく違和感があるようで、前のホテルでも同じように説明していた。おなかはいっぱいだったがカナッペを一つづつむりやり頂き部屋に帰った。
ここには一泊だけしてマラケシュへ帰るので、次の朝は早めに出てちょっと寄る場所を計画していた。チェックアウトの時間が決まっておらず、夜までいてもいいという従業員。ありがたいがその予定はない。支払い手続きを済ませて帰ってきたダーリンたち。予定変更で、ホテル側が、私たちの見ていないホテル内を案内したいというので、断れず受けることになったと。
さらにこのホテルでは、いつもと違うと思うことがった。ホテルでは決まってパスポートを提出し、あちらが必要事項を映し書き、警察にファックスする決まりがあるはずなのだが、ここでは何も要求されなかった。つまりチェックイン手続きを何もしていない。前のホテルも、このホテルも、そして多くの郊外のホテルがそうであるように、キャッシュでしか支払いができない。となると、可能性として私たちの滞在費が誰かのポケットマネーとなって、私たちは滞在していないことになっているかもしれない。
植えれば実るオリーブの木がいっぱいあったホテル。オリーブの収穫はするのだろうかと思うぐらいそこら中に実っていた。このオリーブのように、必要なものは揃えてもらえて、あとは勝手にさせてもらった方がサービスとして気持ちがいいなと思ったが、若手のビジネスオーナーと、やっぱり若手の従業委員たちの楽しんでいる姿は感じたので、これからの繁栄を祈ろうと思う。ちなみに、ジャスミンの花だけは見当たらず、従業員に聞いてもわからない、というジャスミンホテルだった。