VPの定義―Definition of VP

BC(ブリティッシュコロンビア州)の自然火災で、毎年のように煙たい日々のある夏場だが、今年もかなりひどい。エアークオリティ値というのが最高値に達し、家の窓も締め切っていた日があった。今も続くこの曇りのような景色はすべて煙でいつも見えているものも隠す。

義理の姉も無事モントリオールの娘さん家族の所に帰り、日常にもどりつものリズムになった。普段から独り言が多い二人なのだが、それも元に戻った。ダーリンがぶつぶつ言っているときは、いつもではないけれど、たまに何がそんなに邪魔しているのかを聞く。と、今回は仕事でのミーティングでのことだった。

そこからVulnerable Population(以下 VP)の定義の話になった。Vulnerableの日本語の訳が脆弱(ぜいじゃく)とか傷つきやすいとか出てくるけれど、VPといった場合、そういう意味ではない、という論議。ちなみにこのカテゴリーに入るポピュレーションとは、老人、ハンディーキャップのある人、女性、移民、難民、貧困民などになるが、カナダではFirst Nationもこのカテゴリーにはいる。

 

ダーリンに言わせると、VPとは社会の決めたシステムにフィットできない要因があり、そのために生活や健康のクオリティーの低下や維持ができない人々というのが定義だと言い切る。

 

「難民はいい例だよね。」といういと、「そうだ!!そのとうりだ。彼らは子供もいて海を渡り山を越え、何十マイルも歩いてでも危険から逃れてきた人々で、決してひ弱なんかではない。むしろ精神的にも肉体的にも強い人々だ。でもなぜVPのカテゴリーに入っているかというと、そこで生まれてそのシステムを知ってか知らずか、とにかく問題なく生きているカナディアンとは違う。社会が守って管理しているシステムを使って生活の保護ができていないからだ。いい例を挙げてくれたね。次回のミーティングでは難民の例をつかうよ!」

 

実はVPのタイトルで、私はグループで短いリサーチペーパーを2年前に書いたばかりで、私たちのグループが選んだポピュレーションが難民だったということもあり、記憶に新しかった。しかしそうすると、ある疑問があった。その時のインストラクターが、生徒に質問した。「なぜ女性はVPなのでしょう」。「男性よりも筋力が弱いから」など、いくつかの意見が出たが、その時の答えは「女性はホルモンの変化を繰り返して毎月毎日すごさなくてはならないからです。」と。その時は納得したが、そうするとダーリンの定義に入らない。

 

ダーリンに投げかけると、違う答えが返ってきた。女性も今でこそ同等の権利というのを与えられつつあるけれど、大きく社会のシステムを見ると、まだまだ男性の作った社会のシステムのなかでは同等の権利やベネフィットを与えられていない、というのが理由だという。

ダーリンのブツブツの根本はさておき、2年通った学校のクオリティーといったらない、と思っている。専門職がPT(理学療法士)とOT(作業療法士)だった人が講師をしているから、それ系のことはベテランだったとしても、在学中はいろいろな疑問や不平をもって過ごしていたものだった。

しかしいまやすべてDIYで、ネットで自分で調べなさい、というのがベースの世の中。ダーリンのようなopinionated (あれこれ意見をもって言う人)というのは、カナディアンは意外と好かないようだけれど、こういう論議は面白い。

 

個々人のVPの理解はともかく、カナダはVPに関してはかなり配慮のある国であると私は思っているけれど。