ホストファミリー Host family

英語の上達のためには、どっぷりとその環境につかることがいいということで、その一つに「ホームステイ」で体験することが一番、と昔聞いた覚えがある。これは今でも変わらず言われているようだけれど、私の体験で、ホームステイで英語が上達したことはなかった。それは、私に原因があったのだろうと思うけれど、どちらかというと異文化経験ということに役に立ったと思う。

前回触れた、バレエのためにこちらに来ているという女の子も、現在ホームステイをしていて、願わくは語学も一緒に上達したいと日々頑張っている。ところが、少々ステイ先のホストマザーに問題があるようで、来月ステイ先を変えることになったという。

その昔、よその国から来た見ず知らずの若者を、自宅に泊めて生活を共にするという心の広さにまずびっくりした。文化交流に熱心で、自分の親より素晴らしい方々が北米にはいる、と感じていた。それもまったくの間違えではないとしても、最近になって、割とほとんどのホストは空き部屋を貸してエキストラの収入が目的で行っている状況にあるのも事実だと気づかされた。

バレリーナの彼女のステイ先では、彼女の他にもう一人の日本人と、中国人の女の子がステイしているそうだ。そしていくつかのルールがあって、髪の毛は2日にいっぺんしか洗ってはいけないとか、バスルームの掃除当番があったりとか、食べ物を自分の部屋に持ち込むのは禁止とか、持っている食べ物はストレージにいれるなど、かなり抑制がある。一番ひどいことは、彼女が風邪をひいたときのホストの対応だった。風邪で消化器官も弱ってか、ある日食事をもどしてしまった。その後、2日間スポーツ飲料だけ飲んでいなさいと、空腹の彼女にたべものをくれなかったという。食べれると主張したのに、だ。「そろそろ食事にトライしてみる?」と彼女に持ってきたものはなぜかキムチ。

これは極端な例で、しかもちょとやばいケースではないかと思うのだが、同じくステイしている中国人の女の子はもともと毎日シャワーを浴びないとか、食べ物もインスタントラーメンでよかったりとかで、まあいろいろな常識があることも確かだろう。とにかく、彼女があと少しで現在のステイ先から出れるということが救いだと思う。

こういう件を聞くと、私がかつて経験したいくつかのホームステイ先のホストファミリーは、なんてすばらしい方たちだったか、と思う。どちらかというと私自身が問題だったのはやっぱり明らかである。思春期を過ぎてからは友人の家に泊まりに行くことはざら。夜遅く帰るのもしょっちゅうしていたし、その辺は自由な家ともいえるけれど、家族との絆など無視していたような、そんな生活をしていた人間が、外国に行ったからといってそうそう変わるわけはない。当たり外れあるのは、ホストファミリーにとっても同じかと思う。

それにしても、ほかのファミリーの生活の仕方を生で知ることができたのはやはりいい経験となった。もっといい経験となりえたことが、問題児だったために損なったともいえる。

 

ホストファミリーなどになる資格も、そして希望も持っていないけれど、少なくとも、縁あって知り合ったバレリーナの女の子に、初めてのカナダを少しでも楽しんでもらえるような協力ができたら、以前迷惑をかけたホストファミリー達もどこかで喜んでくれるかもしれない。