日本のテクノロジーのすごさと同様に、昔ながらの和を感じるいい休日になった今回の帰国。写真は根津駅から徒歩10分ぐらい歩いてたどり着く、竹下夢二美術館内での「ハイカラさんが通る」展覧会。高校の時の友人を誘って行ってみた。
作者の大和和紀さんの写真が一枚、あいさつのノートと一緒に壁にかかっていた。作品より本人を見るのは初めてで新鮮だった。和服を召したきれいな女性。作品と一緒に展示されていたのは、和から洋へのまさに変わり目の大正時代、本当にいた「ハイカラさん」たちの写真などであった。竹久夢二の作品も別料金を払うことなく見れるようになっていた。後で叔母に聞いたことだが、「根津」は有名な場所らしい。またいつかこの下町を歩いてみるときがあるかな。
帰国中、もう一つ大変貴重な体験をさせてもらったことに、「姫教育~受けつがれる賢い女性のたしなみ~」と題した松平洋史子さんという方の2時間ほどのトークがあった。知っているスタジオでの無料イベントであり、あとで考えると私にはタイムリーでちょっと気になるいい内容だった。
松平さんは水戸徳川家の末商に当たる方で、話の内容とは裏腹に、とても明るくて人当たりの良く楽しいおしゃべりをしてくれる方だった。みんな床に座ってのお話だったので、ボルスターやヨガブロックが用意されていて、松平さんも例外なく「よろしかったらブロックをお使いください」といわれた。後の座り方のお話の中で、とにかくひざを開かずに座るという教育を受けてきたそうで、ブロックにはどう座ればいいか相当戸惑い、「どうしましょうと思ったんです」と笑い話になった。
内容は題目だけ上げると、立ち居振る舞い、食、優しい心を持つことについて、豊かであるために、かたずけ方とその重要性、おもてなしの心、という感じ。一つ一つじっくりと実践して学んでみたいという思いは、講演後、より強くなったけれど、そのような気持ちは実のところ、最近痛切に望んでいたことであった。あまりにもがさつな自分と、ますますこのようなことに触れることのないカナダでの生活が、忘れてはいけない日本の心を訴えていた。
帰り際、主催してくれたスタジオの講師の方が「あっち(カナダ)で伝えてね」と声をかけてくれた。「わかってくれるかしら」とつい口に出た。松平さんの受けた教育が大きく欧米、または一般家庭と違うことといえば、「厳しい」ということではないだろうか。お小遣いをもらって好きなものを買えることもなく、お腹一杯に好きなものを食べるということもない。床の雑巾がけや雑巾の絞り方、自分の食べたお皿は自分で洗う、など、幼いころから厳しいしつけ。何故そうするか説明されたことはないく、とにかく型だけを教わったという。理由はあとあとわかってくるのだそうだ。
和風なものが趣味というのでは全くなく、どちらかというと正反対の趣向ではあるけれど、松平さんのお作法系のお話はかなり私の心をつかんだ。