旅の始まりーThe Beginning of Journey

カルガリー空港が最近リニューアルされてから初めてのフライト。日本へ。かなりいろいろなタイプの椅子やソファーに加え、ところどころに電気器具のコンセントが設置されていて使いやすい印象。

さて、旅は機内から始まる。アイルシートを取っていたのに、実際に空港でプリントした搭乗券を搭乗前によーく見たら、窓側の席だったことに気づく。え~と思いながら、もうしょうがないとあきらめることにした。

 

私の隣はシークを巻いたインドのおじいさん。デリまでのフライトだそうで、成田からまた10時間というからお疲れ様だ。ベジタリアンミールをオーダーしていたから、みんなよりも早く食事が配られる。食事が終わった後、私のテーブルに自分のプレートを置いてもいいか、という会話が最初だった。さすがインドと思うような、銀の仁丹の何十倍も大きい薬ともう一つの薬を取り出して飲むためだった。

 

このおじいさんと、私の見ているビデオ画面を一緒に見るぐらい、なんとなく最後には親しくなっていたのだけれど、彼の英語がなかなかわからず、会話は二人で笑って終わることも多かった。

「最近は神を信じない者が多すぎる」という会話の中では、食後に目をつぶってお祈りみたいなことをするとか、毎日2回は祈るとか、朝は白湯を飲むとかいう内容で、体の中の悪い所がそのお祈りみたいな行為で治るという話があった。熱心に聞いて見てはいたが、「でもさっき薬飲んでいましたよね。」というと、はにかみ笑いを見せ、私もフォローするつもりで、「薬もお祈りも両方やると効果があるということね」と付け足し、二人で笑った。

おじいさんはかなりいいヘットフォンを持っていた。そのヘットフォンを、トイレに行くたびに私に預ける。だから、おじいさんが立った時に私も行こうと思っていても私はお留守番。おじいさんが返ってきてから交代で私がトイレへ行くパターンができた。

 

最後は、「さっき言ったことを(お祈り)実行して、そのたびに私を思い出すんだよ。」という言葉をかけられ、人との出会いはどんなに短時間でも、ご老人にとっては重みが違う感じがして、妙に感情に訴えてくる瞬間でもあった。